第34回 日本二分脊椎研究会

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泌尿器(CIC・機能評価法)
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成人移行期の二分脊椎症患者に対する腎シンチグラムの意義~腎瘢痕は高血圧と腎機能低下の予測因子である~
神奈川県立こども医療センター 泌尿器科
林 千裕、熊野曜平、今村正明、金 宇鎮、山崎雄一郎

【緒言】近年、小児病院から成人病院へ移行する二分脊椎症患者が増えているが、成人移行期における腎機能の評価方法は確立していない。我々は、成人移行期の二分脊椎症患者に腎シンチグラムを施行し、腎機能との関連について検討した。
【方法】対象は2006年1月から2016年8月に当院で成人移行期(15–25歳)を迎えた二分脊椎症患者。低コンプライアンス膀胱に対する尿路管理を行った上で、成人移行期に腎シンチグラムと同時に血圧測定、クレアチニン・シスタチンC測定、尿検査を施行した。腎シンチグラム上の腎瘢痕の有無で2群に分け、高血圧、eGFR低下、蛋白尿の有無を評価した。
【結果】解析可能症例は89例(男37例、女52例)、年齢は中央値18歳(15–24歳)、疾患は脊髄髄膜瘤64例、脊髄脂肪腫23例、尾部退行症候群2名、尿路管理は間欠導尿が84例、自排尿5例であった。腎シンチグラム上での腎瘢痕はなし60例、あり29例。腎瘢痕あり群で、高血圧(なし群15%、あり群45%, OR 4.60, p = 0.0022)、eGFR低下(なし群3%、あり群17%, OR 6.04, p = 0.022)が有意に多かったが、蛋白尿は両群で差を認めなかった。
【結語】成人移行期で腎瘢痕のある症例では、すでに高血圧やeGFR低下を認めていることがある。成人移行期での腎シンチグラムは、厳重な腎機能フォローが必要な患者の振り分けに有用である。