第34回 日本二分脊椎研究会

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泌尿器(CIC・機能評価法)
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幼児期からの介入により7歳で清潔間欠自己導尿の獲得をした症例
北九州市立総合療育センター
林 いずみ、松尾圭介

【はじめに】清潔間欠自己導尿(以下、CISC)獲得への取り組みは、身体機能や知的発達、環境によって異なる。今回、幼児期から介入し、7歳でCISC獲得に至った高位麻痺レベルの症例を経験したため、その具体的な取り組みについて報告する。
【症例】7歳女児。脊髄髄膜瘤。先天性水頭症(V-Pシャント)。アーノルドキアリ奇形Ⅱ型。脊柱後彎変形(矯正術後)。Sharrard分類:第1群。Hoffer分類:NA。知的発達:IQ 100 (4歳2ヶ月時)。
【経過】作業療法(以下、OT)介入は1歳9ヵ月より開始し、上肢および認知機能の状態から、「就学前までのCISCの獲得」を目標においた。途中、亀背部の褥瘡や脊柱の手術で、腹臥位やコルセットをつけた座位に姿勢が限定される時期があった。4歳10ヵ月時、転居により他施設へ移行。6歳11ヵ月時、CISC未獲得で相談あり、OT外来を再開。外来では、鏡を用いたカテーテル挿入が困難であった経過から、視覚に頼らない方法を試みた。また、家庭での練習をベースに取り組むため、ホームプログラムを立案した。CISC獲得には8か月を要し、その間のOT外来は3回であった。
【まとめ】本症例がCISC獲得に至った要因は、骨盤後傾位でも座位保持し両手が使える姿勢がつくれたこと、視覚に頼らずカテーテル挿入が可能になったこと、幼少期からCISC関連動作(更衣動作等)の部分的な実施をしていたこと、家族指導を含め自立への意識づけを行ってきたことだと考える。