第34回 日本二分脊椎研究会

ごあいさつ

この度私どもが、第34回日本二分脊椎研究会を2017年7月8日(土)に名古屋市において開催させていただくことになりました。本研究会を愛知県心身障害者コロニー中央病院として開催するのは、第20回の沖 高司先生(整形外科)、第25回の長坂昌登先生(脳神経外科)に続いて3回目となります。

今回の研究会のキーワードは「診療の継続」としました。二分脊椎症患者にとって、初期治療を受ける小児期の重要性は当然ながら大きなものがあります。その後、思春期、成人期と成長していく過程において、診療を「継続」していく必要性もこれまでの本研究会において多く報告されてきました。いくつかのライフステージにおいて生じる身体的、精神的変化に対して医療・福祉の提供側が、その体制を含めて十分に対応できているとは言えないのが現状かと思われます。再繋留に伴う下肢の運動障害や排尿・排便障害の進行は大きな問題です。また、歩行障害や側湾、褥瘡など整形外科的な問題も継続して診療していく必要があります。

さまざまな理由により病院に通うのを途中でやめてしまった人や、不自由な状況にも関わらず医療の介入を拒むかのように孤立している人がいるかもしれません。そのような状況に陥らないように患者会でのコミュニケーションやネットワークによる情報共有などが図られていますが、社会的なサポートも重要であると考えられます。年齢ばかりではなく、居住地、すなわち都市部か地方かによっても患者さんのフォローアップに差が生じえます。その理由は交通手段であったり、医師の偏在であったり、医療機関の受け入れ体制であったり、また、職業に就いたことによる時間的制約であったり、それらが複合していたりします。本研究会では、地域や施設の違いによって患者さんが享受する医療に差が出ないようにしたいという理念が貫かれてきました。「診療の継続」も等しく行われることが求められます。キャリーオーバーやトランジションといった言葉で称される患者さんに「継続した診療」が行われた現場での経験を発表していただき、現実的な情報を共有し、どのようなことが求められているのか、どのような解決法があるのかを模索したいと思います。

会場はJR名古屋駅の近くにあり交通の便は良いと思いわれます。蒸し暑い時期ではございますが、ぜひ名古屋にお越しください。少ない医局員のため行き届かないことも多々ございましょうが医局員一同、多くの会員の皆様のご参加を心からお待ちしております。

第34回 日本二分脊椎研究会 会長
加藤 純爾
(愛知県心身障害者コロニー中央病院 小児外科)