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実用的な歩行用短下肢装具の検討
筑波大学附属病院 リハビリテーション部 理学療法士1)、筑波大学附属病院未来医工融合研究センター2)、 筑波大学附属病院 リハビリテーション科 医師3)
【はじめに】今回、独歩可能な児に対し、実用的な歩行用短下肢装具の検討を行った。以下に報告する。
【症例紹介】7歳女児。Sharrard分類Ⅲレベル、Hoffer分類HAレベル。筋力はMMT腸腰筋5/5大殿筋2/2中殿筋2/2大腿四頭筋5/5ハムストリングス4/4前脛骨筋3/2下腿三頭筋1/1。【経過】生後より、足部変形予防にて靴べら式装具(SHB)を作製。立位、歩行練習の開始時期より湯の児式装具を使用。成長と共に足部外反が著明となり、カーボン製後方支柱付靴型装具(後方支柱)を作製。現在は軽量さを求めインソール付SHBを使用している。
【方法】歩行速度、歩行率、筋活動を装具間で評価し歩行分析を行った。
【結果】歩行速度は、裸足0.43m/秒、後方支柱0.47m/秒、SHB 0.69m/秒であった。歩行率は、裸足120.1歩/秒、後方支柱99.3歩/秒、SHB 123.7歩/秒であった。筋活動は、裸足と比し後方支柱、SHBともにハムストリングスの筋活動が増し、遊脚期の膝屈曲運動が改善。SHBは後方支柱と比し、大殿筋の筋活動が増し遊脚期に一致した股関節屈曲運動が見られた。
【考察】歩行速度の上昇や歩行率の向上、筋活動からSHBが有用であると示唆される。本症例の筋力では、アンクルセブンは重量感があり、さらに立脚期に十分な筋出力が得られにくいことから、装具の特性も生かせていないことが推察される。しかし、SHBの耐久性に課題もあることから、今後も二次障害の予防及び長期的な歩行能力の維持を目標に装具の検討を行っていきたいと考える。