第34回 日本二分脊椎研究会

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下肢装具の工夫
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Sharrard分類Ⅲレベルの長下肢装具の工夫
筑波大学附属病院 リハビリテーション部 理学療法士1)、筑波大学附属病院 リハビリテーション科医師2)、筑波大学附属医学医療系 整形外科3)、株式会社幸和義肢研究所 義肢装具士4)
清水朋枝1)、鶴巻俊江1)、石川公久1)、清水如代2)、上野友之2)、鎌田浩史3)、出井裕司4)、羽田康司2)

【はじめに】歩行能力が期待されるSarrard分類Ⅲレベル以上でも、筋不均衡や痙性による股関節の内旋が歩行の獲得に多大な影響を及ぼす。今回Sarrard分類Ⅲ、Hoffer分類HAレベルの2症例に、股内旋を制御できるよう工夫した硬性大腿カフ付長下肢装具(以下LLB)を処方し若干の知見を得たので報告する。
【症例紹介】症例1)3歳6ヶ月(以下3:6)男児。2:1で介助歩行訓練開始。歩行時、短下肢装具装着下でも左優位に足内反・内転、股内旋位となり、軟性ツイスターを処方。徐々にツイスターの実用性が低下しLLBを作製・装着。歩行器歩行が可能となった。
症例2)6:9女児。両側麻痺性股関節脱臼あり。1:6で坐骨免荷装具を装着して立位・歩行訓練開始。2:3で発達を優先し股関節への荷重制限がなくなるが、歩行時足内反・股内旋となり、下肢同士がぶつかるためLLBを作製し歩行訓練を行った。2016年に左右の大腿骨減捻内反骨切り術実施。LLB装着下にて50歩程度独歩が可能となった。
【結果】今回のLLBでは股内旋をある程度制御でき、2症例で歩行能力と歩容の向上がみられた。工夫点としては、硬性の大腿カフで大腿前面を覆うことで、股内旋を抑制する壁となるよう作製したこと、日常生活を考慮し外側片支柱で屈伸フリーの二軸継手としたことで、日中も装着し続けられたこと等が挙げられる。
【考察】Sharrrd分類Ⅲレベルで、股内旋により歩行が制限される場合には、今回のLLBが有用であったと推察する。