第34回 日本二分脊椎研究会

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脳神経外科(再繋留・成人例・地域連携)
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脊髄繋留を繰り返す脊髄髄膜瘤の1例
岡山医療センター 脳神経外科
青井瑞穂、堀 佑輔、福原 徹

 脊髄髄膜瘤修復術後の脊髄繋症候群は完全に繋留解除を行うのが困難で、再発を繰り返す例がある。脊髄繋留解除術は手術を繰り返すたびに機能低下のリスクは大きくなる。今回、脊髄髄膜瘤修復術後に脊髄繋留を繰り返す症例を経験した。
 症例は34歳女性。出生時にS2脊髄髄膜瘤の修復術を施行した。生後6か月に水頭症に対しVPシャント施行したが、7歳でシャント離脱した。排尿障害のため2歳6か月から導尿を行い、11歳時に膀胱拡大術を施行した。下肢の運動障害・感覚障害はない。職業は惣菜の製造で、1日8時間以上の立ち仕事をしていた。29歳時に左大腿~下腿に疼痛・筋力低下が出現した。MRIでは脊髄繋留が疑われ、係留解除術を施行した。術中所見では硬膜嚢は右に偏位し、脊髄終糸と神経根は背側右方に繋留していた。終糸と思われた組織は電気刺激で大臀筋収縮を誘発し、繋留解除は不完全に終わったが、術後に症状は改善して就業も可能になった。33歳に同様の症状を再発し、再度繋留解除術を試みたが、硬膜と神経根の癒着はさらに強固で剥離は困難であった。右方へ偏位している硬膜嚢の末梢側を周囲組織ごと正中に移動して縫合し、左側の神経根の緊張緩和を試みた。術後に症状は改善したが、8時間以上の立ち仕事で左下肢痛が出現するため、転職した。
 反省として手術を行う前に、休職や運動制限などの保存的療法を試みるべきであった。今回は術後に症状は改善したが、今後症状が再再発した場合の治療法について意見を伺いたい。