第34回 日本二分脊椎研究会

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脳神経外科(再繋留・成人例・地域連携)
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脊髄髄膜瘤修復術後脊髄再係留:病態把握と治療適応決定の難しさ
兵庫県立こども病院 脳神経外科
小山淳二、河村淳史、阿久津宣行、安積麻衣、原田知明

はじめに: 脊髄髄膜瘤修復術後再係留に対する係留解除術は治療効果予測が不確実で、しばしば手術適応決定に苦慮する。当科で治療を行った直近2症例について検討した。
症例1: 10歳女児。開放性脊髄髄膜瘤修復術後、水頭症シャント留置状態。排尿障害の為、導尿管理を継続。精神発達遅滞認めるも、独歩通学可能であった。両下腿の疼痛、歩容の異常で発症、画像上の悪化は認めなかったが、脊髄係留症候群を疑い係留解除術施行。術後、速やかに下肢疼痛軽減し、歩容の改善を認め、自宅退院したが、退院1ヶ月後頃より頭痛と下肢疼痛。歩容の異常が再燃。シャントバルブの圧調整や鎮痛薬で対応し、約2ヶ月の経過で症状は改善した。
症例2: 9歳女児。開放性脊髄髄膜瘤修復術後、水頭症シャント留置状態。歩行障害認めるも独歩可能。膀胱機能悪化、腰部・下肢痛及び歩行障害の悪化で発症。既存の脊髄空洞の拡大を認め、脊髄係留症候群を疑われた。術前精査で圧可変式バルブ破損及び腹腔カテーテル短縮を認めたが、シャントは開存していると考えられ、係留解除術施行を優先した。術後、腰部・下肢痛は改善したが、頭痛・腰背部創部の皮下髄液貯留などシャント機能不全症状が出現し、シャント再建手術を追加。術後、症状改善した。
考察: 開放性脊髄髄膜瘤修復術後では水頭症など併存病態の為、脊髄再係留症候群の診断・評価がより複雑となる。症例毎に詳細に病態評価・治療決定する必要がある。