第34回 日本二分脊椎研究会

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下肢装具の工夫
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脊髄脂肪腫手術例の理学療法介入および下肢機能予後の検討
あいち小児保健医療総合センター 診療支援部診療支援室 リハビリテーション科1)、同 脳神経外科部脳神経外科診療科2)
竹内知陽1)、大澤弘勝2)、長倉正宗2)、加藤美穂子2)

【目的】脊髄脂肪腫において手術前後の理学療法(以下PT)に関わった症例の下肢機能とその経過について、脊髄脂肪腫分類および病態との関連から検討することを本研究の目的とする。
【対象と方法】2010年4月から2017年3月までの7年間に、脊髄脂肪腫、脊髄係留症候群、脊髄髄膜瘤および脊髄腫瘍と診断し、脊髄脂肪腫摘出術およびまたは係留解離術を施行した症例を調査対象とし、PT介入の有無、下肢筋力、関節変形の有無、粗大運動能力および靴等の補装具の使用状況をもとに術後下肢機能経過について検討した。
【結果】脊髄脂肪腫分類にタイプ分けが可能な症例は140件であり、そのうち78件がFilar typeであった。PT介入があったのは55件(51例)で全体の39%であった。PT介入開始時の対象者の年齢は1カ月~14歳(平均2歳11カ月)で、うち1歳未満18例、1歳半以下9例が含まれた。PT評価において下肢機能に何らかの症状があると認めたものが少なくとも30例あり、うち16例がその後の経過で靴型装具を作製した。それらの多くは独歩獲得の時期であった。退院後に外来PTを行ったものが15例あった。1歳半以下で手術を施行した症例のほとんどは2歳までに独歩を獲得したが、LMMCの1例では経過とともに足部内反変形が増強し、長下肢装具を作製したものの2歳半の独歩獲得に難渋した。
【まとめ】術前からのPT介入により脊髄脂肪腫手術例の下肢機能を多角的に評価し、運動発達を考慮した術後後療法が期待された。