第34回 日本二分脊椎研究会

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整形外科(変形の評価)
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新規フットリスクスコア(FR score)による二分脊椎患者の足皮膚病変予測
佐賀大学医学部 脳神経外科1)、形成外科2)
下川尚子1)、吉岡史隆1)、増岡 淳1)、阿部竜也1)、上村哲司2)

【はじめに】二分脊椎の多数例は下肢運動知覚障碍を有することから、荷重バランスの乱れが足底皮膚トラブルを誘発し重症化する。我々は自験例を対象に足底潰瘍の危険因子を後方視的に解析し、足皮膚病変の予測について検討した。
【対象と方法】二分脊椎120例{男45例・女75例、平均年齢12.1歳(3か月~39歳)、潜在性84例・顕在性36例}を対象とした。皮膚病変は軽度角質肥厚(grade Ⅰ)・胼胝(grade Ⅱ)・足底潰瘍(grade Ⅲ)に分類した。病変との関連を検討した因子(関連因子)は、年齢・性別・円錐高位・運動活動性・下肢知覚障碍・足部変形・脚長差・装具使用・肥満の9因子を検討しOdd’s ratioを基にフットリスクスコア(FR score)を作成した。
【結果】(1) 足皮膚病変は48例(40.8%)で見られた(grade Ⅰ 3%・grade Ⅱ 5.0%・grade Ⅲ 5.0%)。(2) 関連因子では運動活動性は「高い」71.1%、「やや低い」6.61%、「車いす利用」10.7%、幼児「立位未」11.6%であった。下肢知覚障碍は44例で自覚できたが、monofilament法でさらに増加した。足部変形68例、脚長差13例、装具使用16例、肥満11例であった(複数選択)。(3) 多変量ロジスティク解析では、年齢・活動性・知覚障碍・変形が有意に病変と関連があり、これらのOdd’s ratioを基に計算式に変換するとFR score=年齢+活動性×8+知覚障碍×4+足部変形×3(カットオフは20点)であった。
【結論】FR scoreを用いることで二分脊椎患者の足皮膚病変の併発は予測可能であった。FR scoreを活用した診療連携による予防が重要となる。