第34回 日本二分脊椎研究会

第34回 日本二分脊椎研究会 第34回 日本二分脊椎研究会 S3 第34回 日本二分脊椎研究会 第34回 日本二分脊椎研究会
整形外科(変形の評価)
13
二分脊椎の不安定股(Sharrard第III群)における軟骨性臼蓋を含めた骨盤形態の特徴
福岡市立こども病院 整形・脊椎外科1)、佐賀整肢学園こども発達センター 整形外科2)
中村幸之1)、和田晃房2)、山口亮介1)、高村和幸1)、柳田晴久1)、山口 徹1)

目的:当科では歩行可能なSharrard第III群の不安定股に対して組み合わせ手術を行っている。第III群の不安定股では筋力の不均衡により強い屈曲内転力で骨頭は後外側に脱臼する。歩行時は骨盤が前傾する傾向が強く、さらに車椅子や床上動作の際に前屈で過屈曲位をとることが多いため、外側から後方の臼蓋被覆が重要である。骨盤骨切りを行う際に、術前に骨盤形態を詳細に把握する必要があり、MRIを用いて軟骨性臼蓋を含めた骨盤形態を、三次元的に評価した。
方法:股関節脱臼に対する術前にMRI撮影を行った8例16股を対象とした。MRIでは3D-MEDICシーケンス撮影を行い、DICOMデータから再構成画像を作成し、健側骨頭を中心に30°ずつ回転させた。上前腸骨棘と恥骨結合前面を通る平面を前額面として全症例を標準化した。前方から後方に向かって軟骨性臼蓋縁の角度と距離を計測して骨頭被覆距離を算出し、骨頭被覆率(被覆距離 / 直径 ×100)をグラフ化した。ペルテス病6例、外傷性股関節脱臼1例、大腿骨頭すべり症1例の計8例を対照群とした。
結果:二分脊椎例の患側と健側では全方向において骨頭被覆率に有意差はみられなかった。対照群との比較では0、30、60、90、120°において二分脊椎例で有意に軟骨性臼蓋による骨頭被覆が不良であった。
結語: MRIを用いて術前に骨盤形態を把握することが可能であった。