S2 ストーマ管理困難例・ストーマサイト・VAC

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新生児において汚染・化膿創手術の腸瘻造設位置が開腹創感染に与える影響
三重大学 消化管・小児外科
井上幹大、内田恵一、長野由佳、松下航平、小池勇樹、大竹耕平、大北喜基、
小林美奈子、毛利靖彦、楠 正人

2005年から2014年までの10年間に、当科において新生児期に腸瘻造設術を施行した汚染・化膿創症例を対象とし、腸瘻創以外に切開創がない症例は除外した。これらの症例を、腸瘻を開腹創の創縁に造設した同創群と開腹創とは別に造設した別創群に分け、表層・深部切開創感染の発症頻度について比較検討した。対象症例は同創群11例、別創群21例であり、在胎週数、手術時日齢、手術時体重に有意差は認められなかった。腸瘻造設腸管は同創群が全例は小腸で、同創群が小腸20例、結腸1例であった。創分類は同創群が汚染4例、化膿7例、別創群が汚染3例、化膿18例と有意差は見られなかった(p = 0.16)。両群ともに腸瘻部での感染はなく、開腹創の感染は同創群では認められず、別創群で1例(5%)だった(p = 0.65)。今回の検討では、腸瘻を開腹創縁に造設することで切開創感染が増加することはなかった。