S2 ストーマ管理困難例・ストーマサイト・VAC

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ストーマ閉鎖術後の腸管皮膚瘻に対してVAC療法が奏功した一例
名古屋大学大学院医学系研究科 小児外科学
南坂陽子、内田広夫、田中裕次郎、田井中貴久、住田 亙、城田千代栄、
村瀬成彦、大島一夫、白月 遼、千馬耕亮

【背景】VAC療法は創部に陰圧をかけることで創縁を引き寄せ、過剰な滲出液と感染性老廃物を取り除いて肉芽組織の形成を促進させる治療法である。成人領域では腸管皮膚瘻の治療報告が散見されるが、小児での報告はほとんど無い。今回、生後7ヶ月の乳児に対しVAC療法を施行し、合併症を起こすことなく完全瘻孔閉鎖を得た。【症例】症例は7ヶ月の男児で、中間位鎖肛に対して生後1日目に人工肛門造設、5か月時に会陰式肛門形成が施行されていた。人工肛門閉鎖術後6日目に39℃の発熱、7日目に創部腹部創の発赤と腫脹を認めたため開創したところ糞便が流出した。縫合不全による腸管皮膚瘻と診断しVAC療法を開始した。皮膚を損傷しないよう保護シールを貼付し、体動で外れないように固定も工夫した。VAC療法開始後は速やかに解熱し、開始6日目には便汁の流出は消失、14日目に良好な肉芽形成を得て退院した。絶食期間は3日間のみであった。圧迫や固定による褥瘡などの合併症は認められなかった。【結語】乳児に対するVAC療法は、皮膚の脆弱性や体動などが妨げとなりあまり行われていない。我々はグラニューフォームのカッティングやシートの張り方などを工夫し、治療を完遂することができたので報告する。