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成人期に足部変形が増悪し、足関節固定手術を要した二分脊椎症の2例
国立病院機構 大阪医療センター 整形外科
【目的】成人期に足部変形が増悪し変形矯正手術が行われたが、早期に再発し最終的には足関節固定術を要した二分脊椎症の2例について報告する。
【症例1】脊髄髄膜瘤、右L4レベルの麻痺。成長期に内反足に対して手術・装具療法を受けたが、成人後は装具更新時にのみ施設を受診していた。30才頃から徐々に足部変形が増悪。前医で36才時に手術を受けたが1年で再発。足関節の不安定性と変形性関節症変化を認め、40才時に足関節・距骨下関節固定手術を行った。
【症例2】脊髄脂肪腫、右S1レベルの麻痺。足部変形は軽度で整形外科受診は数回のみであった。40才過ぎに内反変形が出現、前医で46才時に手術を受けたが1年で再発。高度足関節動揺性と変形性関節症変化を認め、47才時に足関節・距骨下関節固定手術を行った。術後1年半で髄内釘が折損し距骨下関節での高度内反変形が生じたため、50才時に足部3関節固定手術を行った。
【考察】二分脊椎症患者の多くは成人後に整形外科受診が途切れており、変形が高度となり歩行障害が生じてから、あるいは足部褥瘡の治療に難渋してから受診となることが多い。足関節高度不安定性や変形性関節症変化を呈するようになると、もはや装具療法、変形矯正手術のみでは足部の機能を保つことが出来ず、足関節・足根関節固定手術を行わざるを得なくなる。足部変形のある症例に対しては成人後にも定期的な整形外科での検診が必要であろう。