【はじめに】二分脊椎患者における褥瘡好発部位の一つに足部があげられる。足部褥瘡は変形や個々の活動度に対応する必要があり、治療に難渋する症例も多い。我々は二分脊椎患者で成人後に生じた難治性足部褥瘡を有する2例について報告する。
【症例】症例1:35歳男性。Hoffer分類 Household ambulator、Sharrard分類 Ⅲ群。生後11か月時に脊髄脂肪腫摘出術施行。両外反踵足に対して2歳時に左足軟部解離・腱移行術及び右足軟部解離・腱移行術を施行。3歳時に左麻痺性股関節脱臼に対して観血的整復術施行。左外反踵足が再発したため8歳時に左足軟部解離術施行。右踵部に褥瘡形成したため22歳時にイリザロフ創外固定器による右足部矯正術施行。その後も両足底・両内果などに褥瘡形成・治癒を繰り返している。主な屋外移動手段は両短下肢装具での2本杖歩行である。現在、3年前に生じた右踵部足底褥瘡の治癒が遷延している。症例2:24歳男性。Hoffer分類 Household ambulator、Sharrard分類 Ⅳ群。出生翌日に脊髄髄膜瘤の手術施行。両内反踵足に対して7歳時に右足軟部解離・Evans手術、8歳時に左足軟部解離・Evans手術施行。その後右足部の変形再発・褥瘡形成あり、15歳時に右足軟部解離・Evans手術など施行。18歳時に左足底熱傷を生じ、褥瘡を形成した。以後軽減・増悪を繰り返して治癒が遷延している。主な屋外移動手段は両短下肢装具で独歩である。症例1, 2とも褥瘡の底の色調は良好だが、周囲角質の肥厚が著明である。
【考察】症例1, 2とも歩行用装具は除圧など工夫をしているが、室内では装具を使用していないため、十分な除圧ができていないと考える。今後はより有効な装具や手術などを検討したい。
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成人後に発生した足部褥瘡の治療難渋例
愛知県心身障害者コロニー中央病院 整形外科