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小児期治療二分脊椎、水頭症の超慢性期、トランジション、キャリーオーバーの課題と現実的対応
とまこまい脳神経外科 小児脳神経外科1)、日本二分脊椎症協会北海道支部2)
40数年前より始まった近代型の小児神経外科は、脊髄々膜瘤を初めとして多くの中枢神経疾患や脳損傷患児に福音を与えた。しかし、対症的治療が主であるため、シャント依存など慢性期、超慢性期に多くの課題を残す。今回はキャリーオーバー、トランジションにおける医療間連携の落とし穴について報告する。
<対象>年1回以上当院に通院し、新生児期~乳幼児期にシャント術などの外科的治療を受け、症状を訴えることの出来る18歳以上43歳以下の192例。
A群:脊髄々膜瘤+水頭症100例
B群:脊髄々膜瘤以外の水頭症70例
C群:水頭症の併発が乏しい脊髄々膜瘤や潜在性二分脊椎22例
に分け、超慢性期での問題点を検討した。
<結果>
1. シャント依存は超慢性期になっても20~30%はある。対応必要なシャントトラブルの判断は超慢性期では難しく、救急対応を誤ることがある。
2. 併発症が軽度な症例は社会適応が出来ているように見えても、ストレス障害、自殺願望などうつ状態に陥る場合がある。
3. 預かり型の施設は受診ルールなどがあり医療連携に限界がある。
<まとめ>
1. 地域だけでなく中央でも現在ある医療連携システムは想定以上に落とし穴がある。
2. 医療連携は脳外科間、関連科(泌尿器科など)だけでなく小児科、内科とも必要で医療教育も含めた情報共有が重要。
3. ごく軽症の場合でも地域内で支える継続的カウンセリング、ケース会議が必要。