人工肛門閉鎖術の際、人工肛門周囲の癒着を危惧するあまり、皮下組織や腹壁の筋層を必要以上に剥離や切除してしまうことがある。我々は腹腔鏡を補助的に併用して人工肛門閉鎖術に工夫をこらした2例を経験したので報告する。
症例は、2歳女児の総排泄腔遺残症と10ヵ月男児の中間位鎖肛で、いずれも生直後に横行結腸にループ式人工肛門を造設し、腹腔鏡補助下に直腸肛門形成術を行った。人工肛門閉鎖時の腹腔鏡は臍切開の1ポートから挿入した。腹腔内の癒着はいずれも軽度であった。人工肛門周囲の皮切後、剥離予定線は体表から穿刺した針により決定した。腹腔鏡観察下に開腹し、気腹が維持できる間は腹腔内からも観察しながら周囲の剥離を行った。その後の操作は通常と同様に行った。
人工肛門閉鎖術においては、腹腔内からの観察により人工肛門周囲の状態や癒着の有無が分かり、人工肛門周囲の皮下や腹壁筋層の切離を安全かつ最小限に行うことが可能であった。