症例は尾部退行症候群の15歳、男児。膀胱直腸障害が高度であり、乳児期から間欠的導尿による排尿管理と肛門刺激による排便管理が行われていた。学童期には車椅子で殆ど介助を要さないADL(日常生活動作)となったが、下腹部を直視することが不可能な体形であり、自己導尿や排便の自立が困難であった。11歳時、膀胱頸部形成術、臍部導尿路造設術を施行し、自立した導尿管理を得られた。この際、コロストミー造設も検討したが狭小な腹壁のため断念、盲腸瘻を造設して順行性洗腸法(ACE)を導入することにより日常生活での便失禁を解決した。15歳時、本人の自己管理に対する強い希望からS状結腸ストーマを追加造設した。ストーマサイトの設定に苦慮し、現在も1日1回のパウチ交換を要するが、ACEを組み合わせることで排便、排ガスのタイミングを含めた排泄の自己管理が可能となり、社会生活における本人の満足度は非常に高くなった。