S3 ストーマ脱出・肛門側注入

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人工肛門脱出に対して小建中湯が有効であった2症例
九州大学大学院医学研究院 小児外科学分野
江角元史郎、岩中 剛、三好きな、宗﨑良太、宮田潤子、伊崎智子、田口智章

【はじめに】 人工肛門脱出は対処の難しい合併症の一つである。反復する人工肛門脱出に対し、小建中湯が奏功した2症例を経験したので報告する。
【症例1】 中間位鎖肛、女児。日齢0に横行結腸人工肛門造設術施行。月齢5より人工肛門脱出あり。小建中湯エキス(TJ–99)0.5g 1xを開始したところ脱出軽快。月齢8で鎖肛根治術を行い、月齢11で人工肛門を閉鎖した。
【症例2】 肛門膣前庭瘻、女児。月齢11の肛門移動手術後の縫合不全に対し、横行結腸人工肛門造設術施行。造設後より人工肛門脱出を反復したため、月齢12より小建中湯エキス
(TJ–99)1.25g 2xを開始したところ徐々に脱出は軽快。現在、肛門形成術待機中。
【考察】 小建中湯は腹力軟弱で腹直筋の緊張が強い状態を使用目標とし、小児の胃腸虚弱に対して使用される。自験例においては、芍薬・甘草の鎮痙作用が腹圧を低下させ、腸管脱出を抑制したと推測された。