第34回 日本二分脊椎研究会

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泌尿器(成人例・長期成績)
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成人期に泌尿器科的問題を生じた二分脊椎症3例の検討
順天堂大学 小児外科•小児泌尿生殖器外科1)、東京医科大学 消化器•小児外科学分野2)
山田 進 1)、越智崇徳1)、林 豊2)、岡和田 学1)、宮野 剛1)、古賀寛之1)、土田明彦2)、山高篤行1)

【症例1】 22歳女性。生下時に脊髄髄膜瘤手術及びVPシャント手術を施行。17歳時より尿路感染を繰り返すようになり、MRI検査で膀胱尿管移行部狭窄に伴う右水腎水尿管、膀胱造影で膀胱容量の低下を認めた。間歇的自己導尿 (CIC) を導入後、18歳時にS状結腸利用膀胱拡大術を施行した。術後、右水腎水尿管は消失し、尿路感染もきたしていない。
【症例2】 31歳男性。生下時に脊髄髄膜瘤手術及びVPシャント手術を施行。19歳時に神経因性膀胱のためCIC導入を試みるも、アドヒアランス不良であった。26歳時に尿路感染を繰り返すようになり、超音波検査で右水腎3度、膀胱造影で右膀胱尿管逆流 (VUR) 3度を認めた。そのため、27歳時にS状結腸利用膀胱拡大術を施行した。術後の膀胱造影では右VUR 2度の残存を認めるものの、経過は比較的良好である。
【症例3】 21歳男性。生下時に脊髄脂肪腫手術及び外反足手術を施行。11歳時に施行した膀胱造影では右VUR 1度を認めていた。14歳と17歳時の計2回尿路感染の既往はあるものの、腎機能障害を認めることなく経過した。21歳時に定期外来受診時の超音波検査で両側水腎水尿管を認めたが、就職活動中であったため腎機能精査が先延ばしとなっていた。その間に尿路感染をきたし、膀胱造影で右VUR 4度と著明な増悪を認めていた。今後の治療方針につき、現在検討中である。
以上、成人期に泌尿器科的問題を生じた二分脊椎症3例について、文献的考察を加えて報告する。