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先天性疾患をもつ子どもの父親の体験 — 二分脊椎をもつ子どもの父親一事例の分析を通して —
名古屋大学医学部附属病院1)、名古屋大学大学院医学系研究科2)
【目的】現在、先天性疾患をもつ子どもの父親の体験についてあまり明らかにされておらず、特に周産期領域での父親のケアは十分であると言い難い。よって本研究では、先天性疾患をもつ子どもの父親が出生前後にどのような体験をしたのかを明らかにすることを目的とし、今回はその中の二分脊椎をもつ子どもの父親一事例を中心に報告する。
【方法】先天性疾患をもつ子どもの父親に半構造化面接を実施し、質的帰納的分析を行った。また、研究のプロセス全体を通して、小児看護学の研究者によるスーパーバイズを受けた。なお、本研究は、所属機関生命倫理審査委員会の承認を受けて実施した。
【結果】父親の体験を分析した結果から、【この子にとってよいことは何かを考える】【子どもや家族と一緒に日々を楽しむ】など16カテゴリーが抽出された。本事例の父親は、小学校入学を控えたわが子がよりよい学校生活を送れるように行動した体験などを語った。
【考察】父親は出生前から子どもの状態を心配しながらも、成長発達をしていく子どもを育てていく中で起きてくる出来事に対処していくことで、この子はこの子として捉える感覚を持っていた。その中で、車椅子で生活する子どもにとって何がいちばんよいことを考えていくことや、家族と過ごす楽しさ体験をしていた。