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当院における成人期の二分脊椎患者の排尿管理について
東北労災病院 泌尿器科
ほとんどの二分脊椎患者が成人となるが、成人期の二分脊椎患者の排尿管理に関する報告は少ない。今回、当院通院中の18歳以上の患者を調査した。対象は男性16名、女性18名の計34名、年齢は18~68歳、原疾患は脊髄髄膜瘤29名、脊髄脂肪腫5名であった。観察期間は0.1~15年、CISC施行中が30名、腹圧排尿が3名、尿管皮膚瘻1名であり、経過観察中に排尿管理方法を変更した症例はなかった。4名は膀胱拡大術後であり、10名が抗コリン剤かβ3作動薬を服用していた。定期的なUSによる尿路評価が29名に行われていた。経過中に膀胱内圧測定を15名に、VCGを18名に行っていた。VCGにおける膀胱容量は6名が150ml以下であり、5名はVURを認めた。2名は下肢機能低下として脊髄係留と診断されたが、術前の膀胱内圧測定は高コンプライアンス、DOなしであり、泌尿器科所見の悪化はなかった。4名に有熱性尿路感染の入院歴があり、VURあり1名とVURなしが2名、不明1名であった。血清クレアチニンは24名で測定され、0.30~2.11mg/dlであり、1名はG4のCKDであった。シスタチンは5名で測定され0.69~1.02mg/lであった。我々の施設では新生児期、乳児期、学童期では予防的な排尿管理を行っているが、成人の二分脊椎患者については待機的な排尿管理が行われていた。成人では待機的な排尿管理が適当と考えられた。