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Spondylocostal dysostosis (SCDO; 脊椎肋骨異骨症)に合併したと思われる胸髄レベル神経管閉鎖不全~life-threateningな肋骨奇形について~
日本赤十字社医療センター 脳神経外科1)、同皮膚科2)、同新生児科3)
Spondylocostal dysostosis ( SCDO; 脊椎肋骨異骨症)は脊椎の多数の分節障害と肋骨異常の組み合わせとして定義され、肋骨不整や癒合、肋骨数減少を生じる。今回われわれは、左肋骨がほぼすべて欠損し呼吸障害を呈する本症に胸髄レベルの脊髄披裂を合併した児の治療を経験した。極めて稀な二分脊椎症例とは思われるが、生命を脅かす呼吸障害を呈し難渋する治療に助言を賜りたい。
症例は本発表時5カ月の男児で、胎児期より脊髄髄膜瘤、頭蓋内くも膜嚢胞、側弯、ファロー四徴など多発奇形を指摘されていた。在胎40週4日、体重2340gにて緊急帝王切開で出生。Apgar 3点(1分)/ 5点(5分)で気管内挿管。出生後の画像検査で左の肋骨は1本を除きすべて欠損し、左肺低形成で、頚胸髄に著しい側弯を認めた。Th2のレベルに生じていた脊髄披裂に対し日齢1に係留解除、脊髄形成閉鎖を行った。手術所見では披裂部脊髄が胸椎レベルに存在するものの、披裂は円錐部に相当し、以下尾側は馬尾神経であった。日齢9にくも膜嚢胞壁の切除とVPシャントを施行し神経系治療は小康を得た。両下肢とも痛覚や触覚への反応があり自動運動がみられている。直腸障害はあるが膀胱機能は保たれ自排尿が得られている。
左肋骨欠損のため胸腔の陰圧が維持できず、人工呼吸を継続しないと胸郭が偏位し、健側右肺も圧排されて酸素化が保てない。短頸のため現時点での気管切開も困難で管理に苦慮している。肋骨欠損の治療、胸郭の形成についてご経験のある先生方にご助言頂きたい。