S1 胃瘻

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バルーン型胃瘻ボタンによりボール・バルブ症候群を呈した1例
高知大学病院 小児外科
藤枝悠希、坂本浩一、大畠雅之、花崎和弘

摂食障害児に対する胃瘻造設は長期栄養管理の面から非常に有用な手段であるが、様々な合併症も報告されている。今回我々は胃瘻造設後早期からバルーン型胃瘻ボタンにより幽門部閉塞症状を繰り返した症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。症例は10歳男児。両側脳室周囲白質軟化症による精神運動発達遅滞のため小児科で管理されていた。過緊張による摂食障害と嘔吐のため5年前に腹腔鏡下噴門形成術と胃瘻造設術が行われた。術後早期から胃瘻注入後の嘔気、胃瘻部からの逆流・漏出が頻出したため中心静脈栄養管理に移行した。今回、保護者が胃瘻栄養再開を希望し当科を受診。上部消化管造影検査で前庭部に造設されたバルーン型胃瘻ボタンによる幽門通過障害を認めた。バンパー型への変更も考慮したが、家族の希望により腹腔鏡下胃瘻再造設術を施行した。胃瘻造設部を約4cm噴門側に移動させたことで術前に見られた症状は著明に改善した。